「あれ、ここどこだ?」 ローレライ教団総本山ダアト。 その教会内は驚くほどの広さを備えている。 元々、遠方からの巡礼者が留まる場所でもあるのである程度は広くはとられていたが、長い歴史によりローレライ教団がオールドラントへの支配力を増すことによって教団員や信仰者の数も増大し、比例して建物自体も大きくなった。 ローレライ教団に入ったならば、まずは自分の部屋と礼拝堂までの道のりを覚えることが最初に覚えることとさえ言われており、ちょっとやそっとの期間、滞在したくらいでは到底把握できないほどだった。 アニスの要望もあり、久しぶりにダアトに滞在することとなった一行は、休憩のために自由行動をとった。 それが始まりで 「ご主人様…さっきから同じ道をぐるぐるしてるですの。」 いつのまにやら 「わーってるっつーの。」 ミュウの指摘は、まさにそのとおりであったが、認めてやるのは何だか腹立たしくもあり、苦し紛れの肯定をする。 しかし、だからといって現状は回復するわけでもなく、方々の扉を開いて閉めて階段を上り下りと、続くがどれもこれも同じような場所へと見えてしまい、解決の糸口はない。 そもそもルークは、かくれんぼは得意であっても迷路は得意ではない。 七年間屋敷に軟禁されてきたのだが、屋敷内は広いとはいえそう莫大に広いということではない。 慣れない場所では、むしろなかなか道を覚えることが出来ていなかった。 「迷ったな。」 「迷ったですの…」 しゅんとなるミュウがまたまたうざめに言葉を出すが、もはやルークには突っ込む気力もなかった。 なにしろ、疲れたのである。 たくさんの部屋は立ち並んでおり、それに伴い道も長いし階段の段数も多い。 まさにあてのないような旅をしているような錯覚にまで陥り、そうとう歩いたというわけではないが、精神的に参っていた。 「あー!もう、限界だっつーの。」 やっぱり誰もいない通路の奥で、ルークは叫ぶ。 突き当たりの部屋の扉を開けると部屋がある。 そう、何度も見たただの部屋だった。 その中にズカズカと入り込み、ベッドに倒れこんだ。 「だりぃ〜」 そのまま柔らかなシーツの感触に顔をうずくめた。 「んもう…ルークったら、一体どこにおりますの?」 「迷子になるなんて、子供くらいだと思っていましたが……やっぱりルークは子供でしたね。」 ジェイドはナタリアの言葉に肯定を含めて、やれやれと表情を濁した。 「まあまあ。中身は七歳なんだから、勘弁してやってくれよ。」 苦笑しながら、ガイがフォローを入れる。 そう言ったガイ自身が一番ルークを子供のように見えていたのではあったが、ここまできたら仕方のない。 「でもさ。マジ迷惑だよ。 むしろ迷う方が当然ともいえる。 だが、だからといって進んで迷い込むこともない。 アニスの愚痴は当然だった。 「そうね。私も 「まっ!案内は、このアニスちゃんに任せなさい。」 同じ やはりこのメンバーでは、アニスが先陣を切って案内役を買って出ていたのだった。 「でも、本当に部屋が多いですわね。ルークは見つかりますかしら…」 階段脇の部屋の扉を開けてもルークはおらず、ナタリアは不安の声をつぶやく。 「一応、しらみつぶしに探しているからそのうち見つかるとは思うけどね。」 見当たる部屋には一応、簡単に確認をしている。 でも結構膨大なので、ローラー作戦と課すしかない。 「このあたりは、どういった人の部屋なのですか?」 「ん?えーと…このへんは、特務師団の私室たちだよ。」 アニスの頭に地図は入っているが、 他の団へエリアは、用がなければ来るような場所ではなかったため、少し記憶を引っ張ってから言葉に出した。 「特務師団?まさか………」 なんだか、思い当たる節が出てきた。 通路のど真ん中に立ち止まり、思慮に徹する。 「アニス。一応とは思うが、先に特務師団長の部屋に案内してくれないか?」 「うん。わかった。」 そういい、一番奥の部屋を目指してアニスは足を進めた。 ガチャッ 「みなさん!」 とてとてと、ミュウが待ちかねたの如く足元へとやってきた。 「いたね。」 「こんなところに…」 「全く、人騒がせな方ですこと。」 女性陣は、少し呆れた様な顔をした。 「本能なのですかねえ。ここにたどり着いたのは。」 「まあ、いい教訓となったよ。ルークを探すなら、アッシュを探せってな。」 すやすやとベッドで眠るルークを、すぐさま起こすのはやめた。 だって、とても幸せそうな顔をしていたから。 アトガキ アッシュでてなくてすみません。アッシュ←ルークっぽく。 2006/01/13(再UP 2006/04/10) back menu next |