ホド崩落直前へトリップするルーク  










ローレライを解放したルークは、間近に迫った自分の未来を知りうる。
もう、ただ消えて無くなるだけの存在ということを。
支えたアッシュの腕がピクリと動いたのを感じて、それだけが唯一の心の支えであったが、世界は酷い有様だった。
これも全て近年のユリアの預言による、導きのまま…
天へ一人で昇ろうとしたルークに寄り添ったのは、ローレライだった。
ローレライとてこの有様を見過ごすことはできず、自分の力がある今なら、一つの可能性をルークに提示できると言った。
ルークはそれを選び、過去への糸を辿った。

そして次にルークが居た場所は、一連の因果の始まりであるND2002だった。
ホド戦争の勃発…第二の預言が今まさに始まろうとしていた。
すぐにホドに向かいヴァン師匠に会おうとしたが、身一つしかないルークにはそんなことは叶わなかった。
今、自分が持っている物は、未来の記憶と超振動の力のみ。
ヴァン師匠を止めても強制を強いたマルクト帝国軍を止めなければ、ホド崩落は必ず起きてしまう。
そう考えたルークは、キムラスカ軍へと向かう。
超振動の力を提供することを条件に、キムラスカ軍の総大将をしていたファブレ公爵に会ったルークは、未来のことをぼやかしつつもファブレ公爵に協力を依頼した。
どこかで懐かしくて知っている、それに自分に似ているという理由もあり、ファブレ公爵は少しだけ協力をすると、言ってくれた。
歴史で習っていたおかげで、ルークはホド戦争の戦局の概要を知っていた。
それをファブレ公爵に伝えて、マルクト軍の横槍が入る前になんとかホドへ辿りついて、ヴァンに会うことに成功した。
しかし、その瞬間研究員たちがヴァンに擬似超振動を起こすようにと、無理やり実験を開始する。
ホド崩落の再来―――を覚悟したルークだが、第二超振動で何とか相殺をする。
そうして、マルクト軍の介入も少なかったおかげで、ホドにも被害は少なく戦争は終わりを告げた。
全てが終わり、カイツールで和平への調印式が行われることとなった。

ローレライの声も聞こえないので、これからどうしようかと悩むルークに、ファブレ公爵が屋敷に招待すると言ってくれた。
お言葉に甘えて屋敷に行くと、そこにはまだ3歳のアッシュがいた。
つたない中でも、ルークの元へとやってくるアッシュが触れた瞬間
ルークの存在は薄くなり始める。

ホド崩落を防いだので預言が変化を告げた。
それなので、この世界ではヴァンが預言に憎しみを持つこともない。平和に暮らす。
ヴァンが本格的に着手したレプリカの技術は進歩を遂げなかったため、レプリカであるルークは生まれないのだ。



そう…結局頑張っても、ルーク自らの運命は変わらない。
それでも、アッシュが幸せなら……………

小さい存在に手を触れる。
アッシュは消えるルークを不思議そうに悲しそうに見つめるから、満足をして。



なるべく笑って消えていくことが、ルークには出来たのだった。










アトガキ
2007/08/27

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