ペーパー小話vol.1











ED後、二人無事に生還して両想いになったら、今までを取り返すかのように極力二人は一緒にいます。
二人で行動することが多いから、別に本人たちが望んでいるわけではないのに周りが勝手に服をおそろいにして用意していたりします。
無意識に、同じ服を着ていたとかはたまにあるけど。
ともかく、おそろいは二人にとっては呼吸をするために酸素を求めるくらい自然で当たり前なことだから、普通すぎて大切という感覚は薄い。
凄く高価な装飾具とか送られたりすることもありますが、見慣れているから特別が思えない。
そんなある日、ルークは結婚指輪という物の存在を知ります。
ルークは今まで軟禁生活を強いられていたため、結婚式に出たことが無いからその辺りの知識は皆無でした。
そして少しだけ思います。
確かに目に見える形が二人にあり続けるのはいいな…と。
独り言のように呟いたその台詞をアッシュは偶然聞きます。
数日後、アッシュがルークにプレゼントしたのは、豪華な装飾の施された既製品ではなく、手作りのシンプルな指輪でした。
ルークはとても喜びますが、ペアではなくて一つなのに少し疑問を感じて。アッシュに、なぜ一つなのか?と聞きます。
「俺たちは一つだから、たった一つだけあればいい」
そうアッシュは答えて、ルークに指輪を預けます。さすがに指にははめられないから、ルークはチェーンを通していつも身に付けるようになりました。
そんな幸せだけに包まれていた筈だったのに……………
突然、アッシュが不慮の事故で亡くなってしまいます。
本当にあっけない出来事でした。
そして、ルークの心は急速に落ちていく。
泣きも喚きもしない。出来ない。
そんな感情、欠落してしまいます。
棺を閉める葬儀最後別れのとき、ルークはアッシュのなきがらに、指輪をはめます。
「二人は一つだから、これでいい。」
アッシュの葬儀が終わると、そのままルークも何も残さずにひっそりと消えてしまいます。
完全同位体は運命共同体。
ルークはアッシュのレプリカです。
オリジナルが死ぬと、レプリカも死んでしまうのです。
「俺は彼の場所でしか生き抜けない。」
悟っていたのかそれはわかりませんが、それが最後にルークが残した言葉でした。
今思うと、アッシュが死んでしまったときに既にルークは死んでいたのかもしれません。
アッシュの火葬がすんで、その棺桶にはあの指輪だけが残ります。
それが、二人が生きた証。
二人の間に残るものは何も無い。
でも、心が繋がっているのだから、飛び立った二人には必要ないものなのでした。




私は、身に付けられる小物が好きです。常に側においておけるから。ロケットペンダントは古臭いけど、最強だと思います。
それから思い立ったお話です。アシュルクは幸せにれない。それが私の根底にあるので、暗い話になりました。
2006/11/28

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