ル「んー良く寝たなあ。あれ、アッシュはもう起きてたのか。つか、ちゃんと寝たのか?目にくまがあるように見えんだけど。」 ア「………うるさい。てめえの寝相の悪さのせいだ。とりあえず、浴衣を着なおせ。見っとも無い。」 ル「仕方ねえじゃん。寝れば普通着崩れるって。」 ア「準備整ったら、朝食に行くぞ。」 ル「朝食までまだ時間あるから、もう一回風呂に入ろうぜ。」 ア「昨日ので懲りてないのか?」 ル「だから、楽しめなかったからまた行きたいんじゃん。」 ア「行くなら、早く準備しろ。」 ル「ありがと。それにしても、朝方はまだ薄暗いな。換気のために窓開けるよ。あ、あの建物の中はたぶん温泉だぜ。意外と近くにあったんだな………って、ん?」 ア「どうした?何かあったのか。」 ル「アッシュ…俺たちさ。昨日、温泉でべらべらとしゃべってたよな。」 ア「おまえがぎゃーぎゃー騒ぐことが多かったが、確かにな。」 ※「ねえ、熱い?大丈夫。」 ※「平気だ。そっちが熱いなら先に出てろよ。」 ※「やだぁ、出るなら一緒がいいよ。」 ※「仕方ないなぁ。」 ル「ははっ……なんか、構造的に温泉の会話は丸聞こえだったみたい。」 ア「他の部屋にも筒抜けか…予めそのくらい調べておけ!」 ア「もうすぐチェックアウトの時間だぞ。急げ。」 ル「あ!おみやげ、部屋に忘れた。待ってて。」 ア「先に行くぞ。」 ※「本日はご宿いただきましてありがとうございました。また宜しかったらいらして下さいませ。」 ア「さっさと帰るぞ。」 ル「ちょっと待って!俺、チーズフォンデュ食べたい!!」 ア「………また何ふざけたこと言ってやがる。大体さっき、カップルだらけの大部屋にガマンして朝食食ったばかりじゃねえか。腹なんかへってねえだろ。」 ル「ほらっ、少しは噂くらい聞いたことあるだろ。ダアトにチーズファクトリーが新しくできて、そこのチーズフォンデュはおいしいって有名らしいし。せっかくダアト近くまできたんだからさ、運動がてら良くない?」 ア「どこが運動がてらの距離だ。ここからダアトまで、だらだら歩いてたら片道半日はかかるだろうが。」 ル「あそこに音機関式自転車無料レンタルってやってるぜ。あれ、借りよう!」 ア「少しは人の話を聞け!」 ル「すみません。二人なんですけど、貸して下さい。」 ※「兄ちゃんたち、ついてるね。あと貸せるのはこの一台だけだ。乗ってきな。」 ル「ありがとうございます。アッシュ、行こう。」 ア「ちょっと待て…これどこをどう見ても二人乗りじゃねえか。相乗りなんて冗談じゃねえぞ。」 ル「えーだって折角好意で貸してくれたのに。」 ア「てめえが全部こげよ。」 ル「あーわかった。最近、アッシュ公務ばっかりやってたから、自信がないんだろう。」 ア「言うようになったじゃねえか。時間短縮のためにさっさと行くぞ。」 ア「着いたな。こんなに生命の危機を感じたのは久しぶりだったが。」 ル「確かに多少は霧が深かったよな。白雲の尾根みたいに、もっさり雲だか霧だかわからないのがあって楽しかったけど。」 ア「多少どころじゃねえよ。てめえは少しブレーキを覚えろ。暴走するんじゃねえ!」 ル「だってこんなに長距離自転車に乗ったのは初めてで、面白かったからさ。まあ、怒鳴ったら腹が減っただろ。早く中に入ろうぜ。」 ※「いらっしゃいませ。二名様ですね。こちらの席にお座りください。しばらくしたら注文をお伺いにお邪魔します。ごゆっくりどうぞ。」 ル「わあ、すげえ。二名様用コースなんてあるぜ。これチーズフォンデュも一緒のセットだ!これにしようぜ。」 ア「馬鹿か。そこにカップルコースと書いてあるだろうが。注文なんて無理に決まってる。」 ル「ホントだ。どうりでデザートが一つしかつかないわけだな。」 ア「さっさと別の料理を選ぶんだな。」 ル「えー一応、尋ねてみてもいいじゃん。すみませーん。」 ア「おい!恥をさらす気か!?」 ※「はい。ご注文はお決まりでしょうか?」 ル「このカップルコースって言うのを一つ下さい。」 ※「かしこまりました。では、食後のお飲み物をこちらからお選びください。」 ア「なんで大丈夫なんだ…」 ル「おいしかったな。それに、楽しかった。」 ア「男二人で一つの鍋のチーズフォンデュを突付く光景がそう見えるなら、おまえの目は腐ってるな。」 ル「いいじゃん。店混んでるんだから、誰も見てないって。で、どう?アッシュも少しは楽しめた?」 ア「少しはな。」 ル「良かったー」 ア「で、なぜいきなり温泉に行きたいやらチーズフォンデュが食べたいやらほざいた?いい加減、理由を言え。」 ル「えーと……バレてた?」 ア「当たり前だ。おまえの考えてることぐらいわかるんだよ。」 ル「だって、最近のアッシュはずーと公務にかかりっきりだっただろ?誰が言っても深夜まで書類見てるし。」 ア「俺は好きでやってる。」 ル「でも、たまには自由にしないと倒れるよ。だから、温泉なら背中の古傷にききそうでゆっくり出来るし、ダアトまでくれば日ごろなかなか動けないけどめいいっぱい体を伸ばせるかな…って思ってさ。」 ア「それで、この強行プランか。やれやれだな。」 ル「うまくいかなったところもあったよな。ごめん。ただの迷惑だと思ったら、もう二度とやらないよ。」 ア「………ったく。今度は、俺に一度相談しろ。」 ル「え?」 ア「無駄な時間を食った。さっさとバチカルに帰るぞ。」 ル「ちょっ…待ってよ!アッシュ!!」 二日目終了。 2007/09/27 back |